(1) 米国年金の満額受給年齢と繰上げ・繰下げ受給
満額受給年齢:
米国年金は満額受給年齢を挟んで62歳から70歳までの間に受給開始できます。 満額受給年齢は、以下の表で確認ください。
満額受給年齢は、My Social Security Statement、米国社会保障庁(Social Security Administration “SSA”)でも確認できます(Medicareは、65歳になる3か月前から申請できます)。
繰上げ受給:
62歳から満額支給年齢までの間に繰上げ受給申請ができますが、受給月額の減額を受けます。満額受給年齢から36か月前までは月0.555%が減額されます。37か月目からは月0.416%が減額されます。
例えば、満額受給年齢67歳の方が62歳から繰上げ受給した場合には受給額が30%減額されます。(36か月x0.555%+24か月x0.416%=30.0%)
繰下げ受給:
満額受給年齢から受給開始を繰下げた場合、1か月に付き0.666%、1年に付き受給額が8%増加します。この増額を受ける権利をDelayed Retirement Creditと呼んでいます。満額受給年齢に達した時点で繰下げ受給することをSSAへ報告し許可を得ることが必要です。
配偶者加給の受給開始年齢:
米国年金加入者の配偶者が米国年金受給に十分な社会保障Creditを持っていない場合、配偶者加給を受給することができます。配偶者加給の受給最高額は、年金加入配偶者が満額受給年齢で受給できる月額の50%です。配偶者加給を繰上げ受給した場合米国年金は最大35%まで減額されます。
遡及:
満額受給年齢を超えて受給申請した場合、6か月以上の遡及はありません。
(2) 受給申請手続き
先ず申請必要書類を集め申請します。SSAは申請書類をレビューし必要であれば申請者に追加資料の請求、または、質問をします。その後、SSAが年金額決定通知書を申請者に送付し、米国年金支給が開始されるという手順で進みます。
受給申請時期:
受給開始希望時期の3か月前からSSAへ受給申請ができます。62歳から繰上げ受給する場合、受給開始月は月間を通して62歳である必要があります。あなたの誕生日が各月の1日もしくは、2日の場合は62歳の誕生月から受給ができます。また、1日、2日生まれの方は最大4か月前からの受給申請が可能です。誕生日が3日以降の方は、誕生月の翌月らの受給となり3か月前からの受給申請ができます。米国年金は後払いで、受給月の翌月に支払われます。
受給申請に必要な書類:
米国での申請の場合
- 受給者振込指定銀行の口座情報
- 米国生まれの方は、Birth Certificateの原本、もしくは各州の公衆衛生局が発行するBirth Certificateの原本証明コピー(SSAが誕生日を確認するために必要)
- 米国生まれ以外の米国市民でMedicareの申請、もしくは、SSAへ米国年金以外の申請をしたことがない方は、米国市民である証拠(例:帰化証明書、米国パスポート)のオリジナル、もしくは、移民帰化局の原本証明コピー(期限切れ、公証人の公証を受けた書類、およびフォトコピーは無効)
- 米国市民以外の方は、グリーンカード(9桁のAlien Registration Numberを確認します。)
- 前年のW-2、もしくは、Self-employment Tax Returnのコピー
- 受給申請に必要な書類は、申請者の国籍、米国滞在資格等により異なります。必ず次のSSAのWebサイトで必要書類を事前にご確認ください。
Form SSA-1
Proof of Citizenship/Lawful Alien Status
受給方法:
- オンライン申請
SSAのWebサイト から申請できます。
既に、my Social Security のアカウントをお持ちの方はご自身のアカウントから申請できます。 - SSAのローカルオフィスでの申請
SSAはできる限りオンライン申請をするように勧めています。オンライン申請ができない場合は、ローカルオフィスで申請ができます。現在訪問にはCOVID-19により事前のアポイントメントが必要です。 - 電話での申請
電話番号はCall 1-800-772-1213 (TTY 1-800-325-0778)です。
平日東部時間の8:00 amから7:00 pmまで受付しています。
米国以外にお住いの方の申請
お住まいの国のFederal Benefit Unitをこのリンクからお探しください。 - 日本での申請
日米社会保障協定を利用し日本年金機構の年金事務所で申請ができます。年金事務所から申請書は米国大使館へ送られます。また、40 Credit以上の方は米国大使館領事部連邦年金課(Federal Benefits Unit)でも直接申請することができます。
Federal Benefits Unit, United States Embassy
1-10-5 Akasaka, Minato-ku, Tokyo 107-8420, Japan
Phone: 813-3224-5000 Fax: 813-3224-5144
Email: FBU.Tokyo@ssa.gov
申請処理状況の確認:
my Social Securityのアカウント、もしくは、SSAに電話 (1-800-772-1213 ) して処理状況の確認ができます。
(3) 受給申請の取下げ
受給申請後最大12か月以内であれば受給申請の取下げができます。受給額を返還する必要があります。取下げは生涯1回だけ可能です。再申請ができます。受給申請の取下げができず更にあなたの年齢が満額受給年齢に達していた場合、70歳になっていなければ、SSAへ受給の中断ができます。受給中断の間毎0.666%、年間8.0%の増額を受けることができます。
上記内容はSSAの受給申請の説明Webサイトを参考に作成いたしました。受給申請される際には、必ず同サイトをご確認の上手続きをお勧めください。
(4) 申請時の注意事項
- SSAから海外年金に関する質問への対応
SSAから受給申請後海外年金に関する質問が送られてくることがあります。
WEPの説明、SSAからの質問状、海外年金への質問Form 308 が同封されています。受領後20日以内の返信が必要です。既に日本の年金を受給されている方は質問書へ記入返信のために、日本年金機構の
(i)国民年金・厚生年金保険の年金決定通知書・支給額変更通知
(ii)国民年金・厚生年金保険年金額改定
(iii)国民年金・厚生年金送金通知書
を確認する必要があります。
Form308には日本の受給年金の月額を記載する必要があります。年金決定通知書・支給額変更通知書は年金の年額が記載してありますので1/12の金額を受給月額として記入します。年金払込通知書は2か月分の年金額が記載されていますので1/2の金額を受給月額として記入してください。 - 米国年金受給予定額確認と受給決定通知との比較
SSAの運用マニュアルPOMSには、WEP適用除外する海外年金がGN 00307.290 Section 5、6とGN01701.320(米国との社会保障協定締結国の公的年金で適用除外の年金)に記載されています。しかし、現状日本の国民年金(National Pension)は記載されていません。このため国民年金にWEPが適用される問題が発生しています。SSAローカルオフィスの担当者が、POMSに従い国民年金に対しWEP適用と判断した場合は減額の計算が行われます。国民年金受給の方はWEPの誤適用を受け米国年金が減額されていないか同年金の受給予定額と受給決定通知の金額を比較し確認してください。厚生年金を既に受給し米国年金の受給開始時の資格が40 Credit以上、Substantial Earningsが30年未満の場合、米国年金に対してWEPが適用され減額されます。厚生年金受給の方は、WEP適用による減額の金額が正しいか確認することが必要です。SSAに対して受給額修正のアピールができるのは、受給決定通知書に記載されている日付から65日以内です。 - SSAへの国民年金の説明資料
SSAへ国民年金の説明が必要な場合、日本年金機構の国民年金英文説明資料をダウンロードしてお持ちください。この資料には、国民年金は居住に基づく年金であり保険金等は一律の説明があります。
National Pension System|日本年金機構 (nenkin.go.jp)